某月某日
スティーヴィー・ワンダーで一番好きなアルバムであるところの「ファースト・フィナーレ」を聴いているうちにあることに気づく。 「カンバセーション・ピース」を始め最近のアルバムにはあまり魅力を感じないのだが、その理由は単純に「昔ほどいい曲を作らないから」だと考えていた。しかし、70年代の作品を聴くうちに、当時の録音技術にも原因があるのではと思い至った。S・ワンダーの作る曲は、現代の、細部まではっきりくっきりした音質では映えないメロディではないのだろうか。 「カンバセーション・ピース」の曲も、いや、「イン・スクエア・サークル」の曲だって、かつての高音部が少しかすんだような、ミステリアスな録音の仕方だとぜんぜん違った曲に聴こえるのかもしれない。 これは、フィルムとビデオの肌ざわりの違いに似ている。 「アクターズ・スタジオ・インタビュー」(映画俳優へのインタビュー番組。NHK-BS2で不定期に放送されている)にレニー・ゼルウィガーやナオミ・ワッツが出演していた回を見ていたとき、映画から伝わってくるイメージとの違いに驚いた。もっとはっきり言わせていただければ、映画で見るほど綺麗でなかったのに驚いた。もちろん、俳優はその作品で要求されるキャラクターに化けるのが仕事であるから、テレビと違うのは当たり前のことなのかもしれない。でも、予想以上の落差だった。 でも、この例えだと、もともといい曲でない(綺麗でない)ものを上げ底マジックで美しいように誤解させているという意味になるな。そうじゃないです。単に「媒体によって伝わってくるものが違う」ということが言いたいだけである。 どちらも真実、あるいはどちらも虚構である。
by beertoma
| 2004-09-12 04:39
| 音楽(その他)
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