某月某日
渡部昇一「知的生活の方法」(講談社現代新書)を久しぶりに読み返す。 手元にある版の奥付には「一九九三年五月二四日第五五刷」と書かれている。十年以上前に発行されたもので五五刷であるから、現在だと八〇刷くらいか。これだけ印刷されていると、ここに書かれているような考え方は日本中の脳に蓄積して、半ば常識となっているのかもしれない。 私にとって大事だと思われるのは次の二箇所であった。 「文体の質とか、文章に現れたものの背後にある理念のようなものを感じ取れるようになるには、どうしても再読・三読・四読・五読・六読しなければならないと思う。何かを感じ取るためには反復によるセンスの練磨しかないらしいのである。」(P.59) 「まず、二、三年前に読んでおもしろかったと思うものを片っぱしから読みなおしてみられるとよい。そしてなん冊か読みなおして、おもしろかったらそれだけをとっておき、また来年かさ来年に読みかえしてみるのである。そうしつづければあなたの古典ができ、いつの間にか読書趣味が鋭敏になっており、本物の読書家の仲間に入っていることになるであろう。」(P.67) そういや、こういった考え方を忘れていた。赤線まで引いてあるのに。 読書だけでなく、音楽にも当てはまるのだろう。ジャズやクラシックのキモの部分を聴き取れないこと(駄耳)に悩んでいる(というか、コンプレックスを抱いている)ので、しばらくは反復・反芻をやってみよう。
by beertoma
| 2004-09-21 03:14
| 読書
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