青山南「眺めたり触ったり」

眺めたり触ったり
文・青山 南 絵・阿部 真理子 / 早川書房

青山 南は翻訳家・エッセイストで、とても読みやすい文章を書く人です。
この「眺めたり 触ったり」は読書についてのエッセイ集。有名・無名を問わず、さまざまな人の読書法、読書にまつわるエピソードが紹介されています。

(本を読んでいて気に入った文章に出会うとページの端を折る癖がある、という前フリがあって)

でも、あれって気持ち悪いよ、とぼくとおなじような癖のある男を夫にもったある女性はいった。「亭主が読んだあと、その本を読もうとするじゃない。すると、ところどころ、ぷちっ、ぷちっ、と折ってあるわけよ。気持ち悪いよ、あれ。なんだか、ひとのおできの跡をみせられてるみたいで」
おできの跡とはなかなかいい比喩である。だって、ひとの思い入れって、どこか膿みたいで、他人にはまるでありがたいものではないもの。
「かもね、ぼくにも折る癖があるけど、ひとが折った本を読むのは、そういえば、気持ち悪い」とぼくは答えた。
(P.22)

私にも似たような癖があります。
気に入った文章には赤鉛筆で線をひっぱるのですが、線をひいた箇所が多くなりすぎる場合があって(その本をとても気に入ってしまったということです)、そういう時には「すっごい赤」と「まあまあ赤」の選別をし、「すっごい赤」のページの端を折るようにしています。
でも、小心者なので下の端を折ります。上のほうは、なんとなく恐れ多いのです。

もう一つ引用を。文章の書き方について述べた箇所から。

いつごろからか、文章を書くとき、声にだして読みながら書くようになった。ある分量を書くと、そこまでの分を音読し、変なところを直して、また、つぎの文章に向かっていくのである。どういう箇所が変におもえるのか、うまくはいえないが、変なところだと、舌がからまるのだ。そこを、からまらなくなるまで何度も読み返し、直す。じぶんの文章のときでも、翻訳のときでも、この作業に変わりはない。もうすっかり癖になった。(P.141)
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by beertoma | 2004-11-10 01:21 | 読書


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