桐野夏生「OUT」

OUT 上 講談社文庫 き 32-3
桐野 夏生 / 講談社
OUT 下 講談社文庫 き 32-4
桐野 夏生 / 講談社

遅ればせながら「OUT」を読みました。
感想は「面白かったけど。うーん、ちょっとなあ」というものでした。

他の桐野夏生作品では、村野ミロが主人公の私立探偵もの(「顔に降りかかる雨」「天使に見捨てられた夜」)が好きなので、それらと比較しての感想になりますが、「OUT」は作者の個性が出すぎているような気がしました。「制約のある中で垣間見える、ほのかなる個性」を好む者としましては、ここでの個性は濃すぎるのでは?と思います。

ミステリーの大半は、ストーリー(プロット)重視で登場人物の人間性を描くことは二の次です。(まあ、当たり前っちゃあ当たり前ですが)
その中で桐野作品は、ストーリーもさることながら人間を描くこともかなり重視していて、そのバランスが魅力となっています。ところが、「OUT」ではストーリーよりも人物描写を重視したといいますか、そのバランスが崩れていたように感じました。

ひょっとして、先入観が間違っていたのかもしれません。
それまでの桐野作品から抱いていたイメージ、及び、帯の「日本ミステリー 初の快挙! MWA最優秀長編賞ノミネート」というコピー。これらからストレートなミステリーだと思っていました。
そういう先入観ではなく、女・村上龍の作品だと思って読めばまた感想も違っていたような気もします。
(ただし、これは女・村上龍が書いたものだと気づいたのは読み終わってからでしたが)

以上、期待や先入観をヘンに持ってしまうと、純粋なる読書体験がいかに歪められてしまうか、の報告でした。
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by beertoma | 2004-12-06 22:32 | 読書


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