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「エデンより彼方に」

エデンより彼方に
/ ハピネット・ピクチャーズ

エデンより彼方に (2002)
Far From Heaven
監督・脚本:トッド・ヘインズ
撮影:エドワード・ラックマン
衣装デザイン:サンディ・パウエル
音楽:エルマー・バーンスタイン
プロダクションデザイナー:マーク・フリードバーグ
出演:ジュリアン・ムーア、デニス・クエイド、デニス・ヘイスバート、ジェームズ・レブホーン、セリア・ウェストン

<ストーリー紹介>
1950年代後半のコネチカット州ハートフォードが舞台。
一言で内容をまとめるなら「偏見を持たずに生きている重役夫人、まわりからの偏見に苦しむの巻」。
短歌にまとめるなら「黒人の 庭師と仲良く しただけで どうして私を 白い眼で見る」。

あるいは、「肌の色は うつりにけらぬ いたづらに わが身世にふる 偏見せしまに」。
(ちょっと強引ですが)

<感想>
ダグラス・サーク風のメロドラマ。
色づかいが見事で、魅了されてしまった。アメリカン歌舞伎。
在原業平朝臣氏がこの映画を御覧になったら、
「ちはやぶる 神代もきかず コネチカト からくれなゐに 街くくるとは」
と詠まれるにちがいない。

主演のジュリアン・ムーアがアクターズ・スタジオ・インタビューに出演した際、次のように語っていた。
「この作品はね、どの場面の色にも意味があって、気持ちが込められているの。たとえば、薄紫色のスカーフはキャシーの人柄そのものよ。これは50年代の映画のスタイルにならった作品で、衣装や色づかいといった様式美に支えられているの。
絵に描いたような映像でしょ? 人工的で現実離れした雰囲気があるから、感情的なやりとりが生々しく見えるのよ。様式にこだわったからこそ、物語の情感が引き立つの」

見事なカラーであるため
夜の室内のシーンでは、「バットマンかディック・トレイシーが出てくるのではないか」
紅葉のシーンでは、「シャーリー・マクレーンが死体を掘り起こしに来るのではないか」
などと連想してしまうが、そこはご愛嬌。

ハマる人はハマる作品(だと思う)。
by beertoma | 2005-02-05 01:10 | 映画


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