「アンスピーカブル」

アンスピーカブル
/ ポニーキャニオン
アンスピーカブル (2003)
UNSPEAKABLE
監督:トーマス・J・ライト
脚本・製作総指揮:パヴァン・グローヴァー
出演:パヴァン・グローヴァー、デニス・ホッパー、ディナ・メイヤー、ランス・ヘンリクセン


<ストーリー紹介>
allcinema ONLINE 映画データベース”の 映画 「 アンスピーカブル 」の詳細情報 より

 ある夜、セザールという男が重症を負った女性警官を救い車に乗せた。だが、女性警官は間もなく息を引き取る。そして、セザールは容疑者として逮捕され、殺人罪で死刑宣告されてしまう。そこで、女性精神分析医ダイアナは脳の記憶を映像化するブレインスキャンを使って検証。その結果、セザールは無実と判明するが、死刑は執行されてしまった。同じ頃、連続殺人鬼モワットが自ら出頭。すると、彼の殺害手口が女性警官のそれと酷似していることが判明。そして彼をブレインスキャンにかけるダイアナだったが…。

<感想>
全ての映画は2種類に分けることができる。「アンスピーカブル」とそれ以外である。

ひょっとして、これまで出会った映画の中で、最悪の一本かもしれない。
観ている間、とくに残り30分くらいは、腹立たしいやら情けないやらで極度のストレスを感じていたが、時間をおいた今は、これほどの駄作に出会えたことを感謝すべきだと考えている。生涯最悪の映画に出会う確率は、生涯最高の映画に出会う確率と同じである。このクラスの作品には、そうそうお目にかかれるもんじゃない。
どれだけ大人数の有人島であっても、絶対に持っていきたくない一本である。

どこが気に入らないのか。
ほぼ完全なネタバレになってしまうが、これだけの映画である。バラして何が悪いんじゃ、警察に捕まってもかまわへん、と居直って述べてみることにする。

始まって少ししてから、死刑執行の場面になる。何人もの看守に引きずられるようにしてセザールが連行されてくる。電気椅子に縛り付けられ恐怖に引きつった顔の大写し。10秒前。5秒前。スイッチ・オンという瞬間、フェードアウト。
「その3ヶ月前」という字幕。
そこから、再びこの場面に戻ってくるまでの約30分間に、彼がどういう罪で死刑になったのか、そして、実はそれが冤罪であったことが説明される。
時系列で見せても問題はないのに、なぜこんな回りくどい方法をとったのかが、よくわからない。ここまでして死刑執行を強調したわりには、サクッと執行されてしまう。セザールは脇役であり、このエピソードはいわば前説である。こういった手法は作品の柱となる部分に適用してこそ、効果を発揮するのではないだろうか。

まあ、この段階では「ちょっとヘンだぞ」くらいの感想ですんでいた。
ところが、話が核心に近づいていくにつれ雲行きが怪しくなってくる。
「連続殺人鬼モワット」VS「女性精神分析医ダイアナ with 脳の記憶を映像化するブレインスキャン」のくだりである。
中盤以降は以下のようなエピソードで構成されている。

・彼の脳をスキャンしてみるとダイアナの過去まで映し出される。
・モワットの過去。小さいころに虐待を受けていた。
・彼に殺された人々は、ほとんどが陰で悪事を働くような人物であった。つまり、天罰を受けても仕方ないような人物であった。
・独房にいるはずのモワットが何故かダイアナの前にあらわれる。そしてすぐに消える。
・やがてモワットの死刑執行の日がやってくる。ところが、彼は電気椅子にかけられても死なない。
・それどころか、看守たちを睨みつけ殺してしまう。
・刑務所を脱走したモワットはダイアナと対決。ダイアナに撃ち殺される。

(記憶が薄れかけていますので、順不同になった部分、捏造してしまった部分があるかと思います。ご容赦のほどを)

前説で感じたこの映画ヘンだぞという不安は、このストーリー展開を見せつけられるうちに段々と膨れ上がっていく。
サスペンスのようなドラマのようなホラーのような、中途半端極まりないお話のオチが

「モワちゃんはね、連続殺人鬼で超能力者なんだよ、ほんとはね。だけど、ちっちゃい頃いじめられたから、完全な悪人じゃなく可哀想なとこもあるんだよ、かわいいね、モワちゃん」

なのである。この衝撃的な結末を知ったときには、「なーんやそれ」とすら言えなかった。


IMDB で調べてみると、この映画はモワちゃん役のパヴァン・グローヴァーが孤軍奮闘して作ったものらしい。製作総指揮や脚本も彼の仕業である。おまけにこのお方、映画プロパーの人ではなく、医者だというではないか。映画好きが高じてこの作品をお作りあそばしたということだ。

ひょっとして大きな誤解をしているのではないか。アメリカ人にしかわからない面白さがあるのではないか。そんな気がしたので、IMDBのコメントを見てみた。

I just rented Unspeakable and I have to say that it was the worst movie I have ever seen. I read most of the comments on the board and I, too, don't usually hate movies or criticize them much. BUT, this movie so irritated me that I had to write something.

やっぱり、あんたらも持て余したんやね。

そう、so irritated な映画は write something したくなるもので、これだけ書いてしまったというわけです。
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by beertoma | 2005-03-15 06:54 | 映画


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