風船 (1956)
監督:川島雄三 原作:大佛次郎 脚本:川島雄三、今村昌平 撮影:高村倉太郎 音楽:黛敏郎 出演:森雅之、三橋達也、芦川いづみ、北原三枝、二本柳寛、新珠三千代、左幸子、高野由美 <ストーリー紹介> 森雅之: 戦後の貧しさの中を一生懸命働いて、大会社の重役にまで登りつめた男。 三橋達也: その息子。ボンボン育ちで、自分勝手。 芦川いづみ: 三橋の妹。純真無垢で心の優しい女性。 新珠三千代: 三橋の愛人、バーの女給。 北原三枝: ナイトクラブの歌手。三橋達也に急接近。 こういった人たちが織りなす人間模様。 <感想> 前半部分は、主要な登場人物の紹介と状況の説明に一杯一杯という感じで、物語の動く方向が見えず。群像劇かと思っていたら、終盤近くなってようやく全体像が把握できた。 ハリウッド映画のストーリーテリングに慣れ親しみ、それが標準だと思い込んでしまっているので、ごつごつした語り口に戸惑ったが、これはこれで別の味わいがあり面白かった。 セリフの多い映画。登場人物たちは、お喋りではないけれど、よく喋る。 すごく印象に残ったシーンを一つ。 森雅之が飲み屋のカウンターで、ある女性との出会いについて知人に説明している。映し出されているのは彼の後姿。 友人に向けていたセリフが、やがて、モノローグ調になっていく。それに合わせて映像も、後姿から雨の路地へとオーバーラップする。 これはてっきり回想シーンが始まると思っていたら、なんと、雨のシーンはその翌朝だった。驚いた。川島雄三の凄みを感じた。
by beertoma
| 2005-04-30 05:36
| 映画
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