秋刀魚の味
/ 松竹 秋刀魚の味 (1962) 監督:小津安二郎 脚本:野田高梧、小津安二郎 撮影:厚田雄春 音楽: 斎藤高順 出演:岩下志麻、笠智衆、佐田啓二、岡田茉莉子、東野英治郎、杉村春子、加東大介、岸田今日子、中村伸郎、北竜二、三宅邦子 <ストーリー紹介> いわゆるひとつの小津的な、結婚適齢期の娘とその父親との物語。 <感想> 小津作品の中では2番目に好きな作品です(1番は「東京暮色」。全作品を観たわけではありませんが)。 時おり挿入されるビルの看板やネオンサインのショットとそのバックに流れる音楽が”ク~ッたまらん”の境地に連れて行ってくれます。ヒーリング効果抜群です。 ラストで笠智衆が岩下志麻の肩にそっと手を置くシーンがあって、何度見ても、なんていやらしいことするんだろうと興奮してしまいます。 ”フィルムに写った神様”であるところの笠智衆が、女体(にょたい)に触れるなんてことがあっていいのでしょうか。映画史上、こんなにエロいシーンはそうないと思います。 (すみません。笠智衆の出演作品をそうたくさん観ていないのに、適当なこと書いてます。もっと他にもあるかもしれません) 全ての俳優たちが素晴らしいのですが、今回気に入った人物は、岡田茉莉子演じる平山秋子です。今日も日本のどこかで「ねえ奥さん、トマト貸してよ」と言っていそうな、そんな女性です。 彼女はこの映画の持つ”明るさ”を象徴する人物ではないでしょうか。衣装の色彩が明るいから、あるいはキャラクターが明るいから、というのではありません。最もこの映画の雰囲気が暗くなるのは誰がいなくなったときだろうか、と考えてみた場合、彼女ではないかという気がしました。 (「いなくなる」というのは、「スクリーン上にその人物が映っている部分を黒く塗りつぶし、声も消去した場合」という意味です。こんなこと考えて何の意味があるのか、自分でもわかりませんが)
by beertoma
| 2005-05-07 05:30
| 映画
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