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「21グラム」

21グラム
/ 東北新社
ISBN : B00017YVBQ

21グラム (2003)
21 GRAMS
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:ギジェルモ・アリアガ
出演:ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、ナオミ・ワッツ、シャルロット・ゲンズブール、クレア・デュヴァル

<ストーリー紹介>
心臓移植をしなければ余命が一ヶ月、と宣告されたポール。
かつては犯罪に手を染めていたが、宗教と出会って更生することができたジャック。
夫と娘二人との幸せな生活を送っているクリスティーナ。

それぞれ別の人生を歩んでいた3人が、ある事件がきっかけとなって出会う物語。

<感想>
いい映画だった。ただ、この監督のものとしては「アモーレス・ペロス」の方に軍配が上がる。

<時間軸のシャッフルが派手すぎた件について>
なぜこうも激しくシャッフルしたのであろうか。「アモーレス・ペロス」でも似たような手法は使われていたが、ここまで”ごった混ぜ”ではなかった。

細切れにして時間軸を前後させれば、観る者の頭の中には「これって、どういう話だろう?」という関心が生まれる。今見ているシーンが全体のどの部分に当てはまるのかということを絶えず意識しなければならなくなる。つまりは、どっぷりとした感情移入をさせてもらえない。

ここで語られているのは、やりきれない話である。誰の人生にでも起こりうるつらい出来事である。これをそのまま時系列で見せれば、悲劇の追体験で終わってしまう。
作り手が観客に望んでいるのは、そういった、登場人物と一体化した悲劇の体験ではない(たぶん)。 「悲しい出来事から一歩身を引くことも必要である。ただ感情的に反応するのではなく、命の重さについて思いを巡らせてほしい」 そういう意図が込められているような気がした。


ただ、この作品のように派手に散らかしてしまうと副作用もきつい。話の全体像が見えてきたときにかなりの快感を味わうため、それ以降が物足りなくなってしまう。「全体像が見えてきた時」=「映画がクライマックスをむかえる時」くらいにすべきではないだろうか。
半分を過ぎたあたりでだいたいの話の流れが見えてしまったため、後半での刺激のなさが不満であった。
by beertoma | 2005-05-20 05:23 | 映画


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