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「血は渇いてる」

血は渇いてる (1960)
監督・脚本:吉田喜重
撮影:成島東一郎
音楽:林光
出演:佐田啓二、三上真一郎、芳村真理、岩崎加根子、織田政雄、中村美代子

<ストーリー紹介>
サラリーマンの木口高志は真面目で純粋な男である。
そんな彼が、ある日、拳銃自殺を図ろうとした。同僚たちがリストラされようとしており、それに抗議するためである。銃をこめかみに当てたところで阻止されたため、軽い怪我で済んだものの、事件は新聞沙汰となってしまう。仲間を思う気持ちが美談として紹介され、彼は世間の注目を集める存在となった。
そこに目を付けたのが昭和生命保険の宣伝部。イメージキャラクターとして広告に起用すれば、加入者が増大するのではないかと考えた。
その目論見は見事に的中、木口は”時の人”となっていく。


<感想>
あっという間の87分であった。
描写がくどくない。テンポよく次のシーンへと移行していくので、とても見やすい。

ポレポレ東中野 内にある 吉田喜重 変貌の倫理 というページに、監督による作品解説が掲載されています。
この作品の解説には、「安易に氾濫するヒューマニズムを逆手に、その欺瞞を描いた」とありました。

ただ、私はこの作品をコメディとして観ました。
この映画で描かれている世界の常識が、私の脳にあるそれと比べて、あまりにもかけ離れたものであったためです。
「仲間のリストラに抗議して自殺する」という心情はまだ理解できなくもないのですが、その人物がヒーローとなる世界って・・・。

広告用の写真を撮影するシーン。カメラの前に立った木口高志がポケットから銃を取り出して、当たり前のようにポーズをとったとき、爆笑してしまいました。(佐田啓二の”ボケ”が最高です)
by beertoma | 2005-06-10 05:08 | 映画


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