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カエターノ・ヴェローゾ 「プレンダ・ミーニャ」

Prenda Minha
Caetano Veloso / Verve

長らくスクデット(シーズン優勝)から遠ざかっていたフィオレンティーナが、久しぶりに優勝争いに参加したのは'97-'98シーズンのことでした。バティストゥータ(アルゼンチン)、エヂムンド(ブラジル)、ルイ・コスタ(ポルトガル)、ハインリヒ(ドイツ)、レプカ(チェコ)といった、有能な外国人選手を揃え、シーズン序盤から勝ち点を着実に積み重ねていきました。フィレンツェの町は連日の大騒ぎです。
ところが、シーズン終盤の、スクデット獲得まであと少しというところで、一つの事件が起こりました。中心選手の一人であるエヂムンドがチームを離れることになったのです。
その理由というのが・・・。

「リオのカーニバルがあるから」

現在の阪神タイガースに例えれば、今岡が「天神祭りを見たいさかいに、遠征には参加しませんわ」と言い出すようなもの。桧山と片岡と杉山の京都出身トリオが「祇園さんのコンコンチキチン、聞きたいですよってに、今日は試合前の練習だけで失礼させてもらいます。へえ、おおきに」と言うようなものです。

当然のごとくまわりは猛反対しました。ですが、この件は契約にも織りこみ済みということで、強制的に止める手立てはありません。相手は唯我独尊のエヂムンド氏です。あっさりと機上の人となったのは言うまでもありません。
(彼のせいばかりではありませんが、フィオレンティーナは優勝争いから脱落してしまいました)

エヂムンドは自分勝手すぎる。誰もがそう言い、私もそう思いました。眉もひそめました。


ところが、ある曲をを聴いたとき、その考え方が変わったのです。
カエターノ・ヴェローゾ「プレンダ・ミーニャ」に収録されている『マンゲイラを追わないのは死んだ者だけ』(アトラス・ダ・ヴェルヂ・イ・ホーザ・ソー・ナォン・ヴァイ・ケン・ジャ・モヘウ Atras de Verde-E-Rosa So Nao Vai Quem Ja Morreu)です。このサンバのリズムとメロディよ! ブラジル人の血が流れていない私の遺伝子さえ、刺激されます。エヂムンドの心がわかるのです。「今すぐリオに行かなくっちゃ」という気持ちになってしまいます。気がつけば旅行代理店のカウンターの前に立っていたことも、2度ほどありました。

リオのカーニバルとはこれなんだ。ごめんねエヂ。
誰しもそう懺悔してしまうような、そんな名曲です。


このアルバムは”LIVRO”ツアーのライヴです。例によって”LIVRO”の曲はほとんど収録されていませんが、他にも名曲がテンコモリです。名曲しか収録されていないといっても過言ではありません。
by beertoma | 2005-06-22 00:24 | 音楽(その他)


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