『和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか』 佐野 真

和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか
佐野 真 / 講談社
ISBN : 4061497960

タイトルが『和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか』、しかも講談社現代新書の一冊ということなので、和田の投げる球がなぜ打ちにくいのか、を科学的に解説した本だと思っていたのだが、その予想は大きく外れた。

第一章は、2003年日本シリーズ第7戦のことからはじまる。ダイエー先発和田の立ち上がりを攻めきれず、阪神が敗れてしまった試合である。あの忌まわしい試合から書き始めたということは、「この本は阪神ファンを拒絶する!」という著者からのメッセージかと一瞬ムッとしたが、今はリーグ優勝を決めた直後である。寛大な気持ちで読み進んだ。

およそ全体の7割が、和田毅の半生を描くのに費やされている。
両親、アマ時代の恩師やチームメイトにインタビューを行ない、それを基にして、彼の送ってきた野球人生が再構成されていく。
中学・高校・大学と野球を続けていく過程で、その独特の投球術をいかにして編み出していったのか。どういった態度で練習をしてきたのか。何を考えながらピッチングをしていたのか。

(和田様。やはりあなたも、徹底した自己管理、練習熱心、負けず嫌い、の人なんですね。)

残りの3割で彼の投球を分析しているのであるが、ここの部分は調査不足であるように思った。
機械を使った測定などは一切行なわず、周りの人や対戦したバッターなどの証言だけで結論を導き出している。また、和田がプロに入ってから対戦したバッター(つまりは、我々が知っているような選手)の証言は含まれていない。
例えば、タイトルが『和田毅 130キロ台のストレートで三振をとる男』であるのなら、こういったやり方でもいいのかもしれないが、『和田の130キロ台はなぜ打ちにくいか』と大見得をきったのであれば、それに相応しい解説がほしかった。(講談社現代新書というブランドもあるし)


と、否定的な感想を書きましたが、内容が興味深く、文章もたいへん読みやすいので、一気に読み終えてしまいました。

著者にはこのあとも引き続いて、『下柳の130キロ台はなぜ打ちにくいか』 『クルーンの160キロ台はなぜ打ちやすいか』 『金本は37歳なのになぜあんなに元気なのか』 『明石家さんまは50歳なのになぜあんなに喋るのか』 を執筆していただきたい。
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by beertoma | 2005-10-12 05:32 | 読書


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