大阪物語 (1957)
監督: 吉村公三郎 原作: 溝口健二、井原西鶴(「日本永大蔵」より) 脚本: 依田義賢 撮影: 杉山公平 美術: 水谷浩 音楽: 伊福部昭 仁兵衛 (中村鴈治郎) … 近江屋の主人 超弩級のケチ お筆 (浪花千栄子) … 近江屋の女房 仁兵衛のやり方におとなしく従っている おなつ (香川京子) … 近江屋の娘 父のやり方に批判的 番頭の忠三郎のことが好き 吉太郎 (林成年) … 近江屋の伜 うぶな青年だったが、市之助と知り合って・・・ 忠三郎 (市川雷蔵) … 近江屋の番頭 真面目 おなつのことが好き お徳 (鐙屋の女主人) … 三益愛子 彼女もまた超弩級のケチ 市之助 (勝新太郎) … 鐙屋の伜 遊び人 滝野 (小野道子) … 新町扇屋の遊女 綾衣 (中村玉緒) … 新町扇屋の遊女 星野権左衛門 (東野英治郎) … 大名留守居役 河内屋 (山茶花究) … 大阪の両替屋 <ストーリー紹介> 貧農の出で一代で財をなした男とそのまわりの人々の物語。 二時間ドラマ風のサブタイトルをつけるなら 『大阪物語 戦慄!! たった十文なくしただけで奉公人をしばきまくる男・仁兵衛! 妻の病気よりも娘の結婚よりも金だ! このドケチぶりはいつまで続くのか!?』 <感想> ・仁兵衛の守銭奴ぶりがたいそう面白く(=笑えて)、大人の童話といった感じの作品。 ・『東京物語』がああいう作品なのに『大阪物語』がこういう作品だというのも、さすが大阪という気がしておかしい。 ・格子がうまく使われていた。(米を拾うのに仁兵衛だけ通り抜けられなかった格子、一刻も早く話し合いたいのにおなつと忠三郎を分け隔てる格子、「誰も入ってくるな!」と仁兵衛が閉めた格子) ・『依田義賢シナリオ集』(映人社)によれば、原作は井原西鶴の「日本永大蔵」。これをもとにして依田義賢と溝口健二が脚本化していた。が、その頃には溝口の病気(血液のガン)が進行しており、彼は十分には参加できなかった。溝口の死後、吉村公三郎監督で映画化されることになったが、追悼する意味をこめて原作を溝口健二とした、ということらしい。 ちなみに、映画は叫ぶ仁兵衛で終わるが、シナリオでは、家を出たあとのおなつや吉太郎のことまで描かれている。なぜカットされたのかは不明。 ・「近江屋の朝のお誓い」が面白かったのでここに採録しておきます。 「お箒さま、お団扇さま、どうぞ、今日も結構に儲けさしていただきますように、よろしゅうおたの申します。 (パンパンと拍手を打つ) 掃きよせぇーよ、かきよせぇーよ (一同唱和)、 福あらば災いのはじめと思い (一同唱和)、 つつしみて拾うべし (一同唱和)、 身によき着物を着ると思うな (一同唱和)、 口にうまさを好むまじ (一同唱和)」
by beertoma
| 2005-12-18 06:31
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