クリス・ペン

クリス・ペンが亡くなったらしい。残念である。

米俳優クリス・ペンさん、遺体で発見=警察 | Excite エキサイト : 芸能ニュース

彼が映画で演じた人物といえば、「レザボアドッグス」の悪党 ”ナイスガイ・エディー”や「トゥルー・ロマンス」の刑事 ”ニッキー・ダイムス”などが思い浮かぶが、その素晴らしい演技力を見せつけたものとして、「ラッシュアワー」でのチョイ役 ”クライヴ・コッド”を忘れることができない。

(以下は、曖昧模糊とした記憶に頼って書いておりますがゆえ、細かいところで、間違っている可能性が大となりますがよろしかったでしょうか? でも、大まかなところでは、あっているはず)

香港からやってきた捜査官・リー(ジャッキー・チェン)とロス市警の刑事・カーター(クリス・タッカー)が、互いに反発しながらも協力して誘拐事件に挑むというストーリーのこの映画、クリス・ペンの役どころは受刑囚であった。このコッドという男は、悪事を働いていたところをリーによって逮捕され、刑務所送りとなったという経緯がある。よって、リーのことを深く恨んでいる。
映画が進むにつれ、リーとカーターの捜査も順調に進んでいく。ところが終盤、犯人側の逆襲にあい、手がかりが全てなくなってしまう。打つ手なしの万事休すである。 と思われたそのとき、意外な事実が判明する。コッドが、過去に犯人と接触があったというのだ。彼から情報を引き出せれば、犯人の居場所がわかり人質を助け出すことができるかも!
リーはコッドに会いに行く。教えてくれないか、頼む。ところが、コッドは取り合わない。「おめぇに食わせるタンメンは、ねえ!!」といわんばかりの態度である。リーはここで誠実に話しかける。人質となっている女の子は私にとって大切な存在である。どうしても助け出したい。これは刑事としてではなく、一人の人間としての頼みだ。
最初はうねる感情に身をまかせつっけんどんな態度をとっていたコッドであるが、次第にリーの言葉が心の奥底に届いていく。悪党の顔が人間の顔へと変化していき、犯人に関する情報を教えてやる。

このときのクリス・ペンの演技のワンダフルなことといったら! リーの言葉が心に沁みていくさまを、そりゃあもう、完璧に表現しておりましたよ。

脚本のレベルでは成立しそうにないシーンである。こんな説得の仕方で相手の気持ちを変えることができるのか。おまけに、それを見るものに納得させられるのか。
ところが、クリス・ペンは見事な演技力でやってのけた。

これを見てからというもの、彼がスクリーンに登場するのを心待ちにするようになった。(であるが故に、「完全犯罪クラブ」での使われ方には大いに不満だった。)
おいしい演技をしてくれる俳優が、また一人いなくなってしまった。あーあ。



ちなみに、「こんなことで気持ちを変えることができるのか?」というヘンな脚本を、ふつうに演じてしまったため、とうてい承服しがたい結果に終わった例としては、「ジョンQ」のアン・ヘッチがあげられる。
彼女の役はやり手の病院長。ジョン・Q(デンゼル・ワシントン)が人質をとって(自分の)病院に立てこもったことが許せない。あんなやつ、撃ち殺しなさいよ、さ、早く。
ところがジョン・Qが篭城するには理由があった。彼の息子は重病を患っているのだが、保険が利かないために治療をうけることができないのである。息子はだんだんと弱っていく。貧しいジョン・Qにはどうすることもできない。そこで思い余って犯行に及んだのだ。
この事情を知ったアン・ヘッチはタカ派からハト派へと変身するわけだが、彼女の心変わりを示すシーンは、パソコンで息子のカルテを見て(事実に気づき)涙ぐむ、というだけのものであった。
(演技の問題ではなく演出の問題なんでしょうが)


物語では、「気持ち(決意、信念)の変化」が描かれることが多々あるが、「どういった理由で変化したのか」「(作り手は)それをどうやって見せているのか」といった点にに注目して見ると、面白い。
(前にも書きましたが、「ザ・ロック」でアルカトラズに行くのをいやだいやだと言っていたショーン・コネリーが、態度を変えたのはニコラス・ケイジのどんな行為だったのか、とか)

どなたか、古今東西のありとあらゆる物語における、「気持ちの変化」についての、百科事典みたいなやつ、作ってください。
[PR]
by beertoma | 2006-01-27 05:37 | 映画


<< 相棒 Season IV 第1... 「リンカーン」 #12 >>