「吉本新喜劇タレント・作家名鑑 現役タレント49人と作家8人を全紹介」

相羽秋夫 『現代上方演芸人名鑑』(少年社,1980)の紹介のときに触れませんでしたが、この本には当時活躍していたのに取り上げられていない人たちがいます。それは吉本新喜劇の役者たちです。
漫才師として舞台に立ったことのある人は収録されているのですが、芸歴が新喜劇のみの人は載っていません。なんという差別でしょう。なんという暴挙でしょう。にわかには信じ難いことです。

ちなみに、『現代上方演芸人名鑑』に収録されている新喜劇の人たち(とその漫才師としての経歴)は

泉ひろし … 三遊亭柳枝に入門。柳豊作の名で柳万作とコンビでデビュー。泉スナップの名で中田チャックと再コンビ。
井上竜夫 … 曾我廼家五郎八に入門。その後、新喜劇に入団するも、やすし・きよしやコメディーNo.1に刺激されて、谷しげると ざ・どっきんぐを結成。
池乃めだか … (ここでは「海原めぐる(二代)」の名で収録されている) 正司玲児らと音楽ショウ・ピスボーイを結成してデビュー。その後、お浜・小浜門下となる。
岡八郎 … 花菱アチャコの推薦で吉本新喜劇に入団。一時期、浅草四郎とコンビを組んでいた。
谷しげる … 江口乙矢・須美子舞踊団、新劇群像、かっぱ座を経て吉本新喜劇へ。井上竜夫とざ・どっきんぐ。
南喜代子 … 三遊亭柳枝と結婚。柳枝劇団を振り出しに、ミナミサザエ、笹山タンバ等とコンビを組む。
やなぎ浩二 … (ここには「柳マンデー」の名で収録) 三遊亭柳枝門下。柳豊作(泉ひろし)と柳万作の名でデビュー。中の島大学・中学の中学を経て柳サンデーと柳マンデーで再コンビ。

(井上竜夫と谷しげるの”ざ・どっきんぐ”、泉ひろしとやなぎ浩二の”柳豊作・万作”の漫才ってどんなのだったんでしょう。すんごく興味があります)

くらいです。
花紀京や原哲男が載っていない名鑑なんて!

そう怒りにふるえていた頃に発売されたのがこの雑誌でした。

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雑誌『上方芸能』73号(1981年10月号)
特集 「吉本新喜劇のすべて」
「吉本新喜劇 その魅力の構造」 井上宏
「興行師たちと芸人往来 -新喜劇の歴史-」 竹本浩三
「大阪の笑いの神話をつきくずせ」 林信夫
「初日のあくまで -制作過程を追う-」 編集部
「吉本新喜劇タレント・作家名鑑 現役タレント49人と作家8人を全紹介」

この「吉本新喜劇タレント・作家名鑑」が私の心に平和をもたらしてくれたのです。

男優陣では、帯谷孝史、菊地大助、木村明、木村進、桑原和男、島木譲二、島田一の介、船場太郎、平参平、高石太、中山三吉、間寛平、花紀京、浜裕二、原哲男、室谷信雄、柳井幸多郎、由利謙。
女優陣では、浅香秋恵、大井文子、楠本見江子、末成由美、園みち子、高瀬ぎん子、竹田京子、中山美保、藤里美、山田スミ子。
みんな載ってます。鼻の大きな帯谷孝史も、頭の大きな菊地大助も、タマネギのたたりの室谷信雄も。

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伴大悟や淀川吾郎や津島ひろ子や片岡あや子といった名が見当たらないのが残念ですが(当時はもう退団していた?)、贅沢を言うのはやめておきましょう。

ここで我らが寛平兄さんの項を採録します。

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本名は重美。昭和24年7月20日高知県生まれ。柏原高校卒業後、東京にて職を転々、44年新世界の温劇に入りコメディアンとなる。45年吉本に入り新喜劇研究生を経て、49年6月より木村進と共に座長となる。51年3月木村進と離れ、現在は池乃めだかとともに座長。独特のキャラクターで無差別な笑いを次々と生み出す。新喜劇の人気者で、テレビ「モーレツ!! しごき教室」や「あっちこっち丁稚」でも大活躍。レコードも「ひらけチューリップ」など多数。目標のタレントは秋野大作。「新しい本をどんどん書いてもらって、それを僕らが団結して一生懸命やって行かねばならない」と大まじめ。

目標のタレントが秋野大作!?  発言の意図を「明石家電視台」の楽屋トークで追求してほしい。


現役もOBも収録した、吉本新喜劇タレント名鑑の完全版が出ることを祈る毎日です。
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by beertoma | 2006-03-04 18:24 | お笑い


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