カテゴリ:読書( 43 )

「高い窓」 レイモンド・チャンドラー

某月某日

「長いお別れ」に比べて登場人物が多彩で話の展開も早い。素直に楽しめた。
ただ、話を広げすぎて収拾がつかなくなったのか、最後のまとめ方に強引さを感じる。ひょっとして、チャンドラーは何も考えずにタイプライターの前に座り、書きながらストーリーを考えていたのだろうか。

マーロウに事件を依頼するマードック夫人が濃いキャラクターで印象に残った。

「マーロウさん、私ははっきりものをいいますよ。でも、気にしないでくださいよ。あなたが私のいうことを気にするようだと、あなたは役に立たないんです」
私はうなずいた。とくに返事はしなかった。
彼女は突然笑い出した。それから、げっぷをした。かるいげっぷだった。大げさなげっぷではなく、いつものことなので気にもとめていないようだった。



a0034898_1524516.jpg高い窓
清水 俊二 訳/ 早川書房
スコア選択: ★★★★

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by beertoma | 2004-07-31 02:39 | 読書

「長いお別れ」レイモンド・チャンドラー


長いお別れ

レイモンド・チャンドラー 清水 俊二 / 早川書房
スコア選択: ★★★★

某月某日

自分ではハードボイルド小説が好きだと思っていたのだが、そのくせチャンドラーはあまり読んだことがなかった。いや、この作品を含め何作かは読んでいるのだけれど、すっかり忘れてしまっている。これではいけない、そうだ、最近雨降らないからチャンドラーでも勉強しようと思いついたので、とりあえず読んでみることにした。
「レクイエム」の後に読んだためなのか、ゆっくりもっさりしているような印象を受けた。現代のリズムが身体に残っているのだろうか。スピード感の違いにとまどう。
独特のトーンにも慣れるのに時間がかかった。なんというか、登場人物のみんな、はじけてないんだよねー。もうちょっとニヤリとさせる場面とかがあればいいのに。

マーロウはテリー・レノックスのことを「どうしてもきらいになれない人間だった」と言っているのだが、それなら読者にもそう思えるように、セリフやエピソードでもっと描いてほしかった。そういうタイプの小説ではないのかもしれないが、作品全体に占めるテリーの割合、というか存在感からすれば、あってもいいんじゃねえのと思った次第。

チャンドラーの読み方を根本的なところで間違っているような気もするが。
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by beertoma | 2004-07-25 22:30 | 読書

「レクイエム」 ジェイムス・エルロイ

a0034898_1695241.jpg私立探偵が主人公の、いわゆるハードボイルド小説。
ストーリーは比較的ストレートに進んでいく。実はこの人があの人だったとか、この味方が敵だったとか、そういうひねりはない。謎が明かされていくスピードは現代的で、アクションシーンも適度にあり、マイペースで読むことができた。
少し変わっているのは、途中で主人公が煮詰まってしまうところである。クラシック音楽が好きな探偵であるので、音楽を聴くことで精神的危機を乗り越えようとする。私としては、コルトレーンなぞを聴き込んで、さらに煮詰まってほしかったのであるが、それはちょっとかわいそうか。

他のエルロイ作品としては、「ブラックダリア」「秘密捜査」くらいしか読んだことがなく、また、それらの内容もすっかり忘れてしまっているので、「うーん、とってもエルロイ!」と言える作品なのかは判断いたしかねますが、一つのハードボイルド小説として大いに楽しめる作品ではあります。
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by beertoma | 2004-07-23 01:50 | 読書