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「わが町」

わが町 (1956)

監督:川島雄三
原作:織田作之助
脚本:八住利雄
撮影:高村倉太郎
出演:辰巳柳太郎、南田洋子、三橋達也、殿山泰司、大坂志郎、小沢昭一、高友子、北林谷栄、大倉万智子

<ストーリー紹介>
戦前から戦後にかけて生きた豪放磊落な明治男・佐渡島太吉の半生記。

<感想>
佐渡島太吉、通称たーやんは、デリカシーというものが全くない。家族の幸せを考えずに行動してしまう。
いや、彼なりには考えているのだが、それがあまりにも野生の思考であるため、結果として何も考えていないのと同じになってしまっている。

彼の人となりが現れていたシーンは、例えば、こんな具合。
太吉の孫娘が学校でイジメられ、泣いて帰ってくる。それを見た近所の天ぷら屋の主人は、慰めようと揚げたての天ぷらを食べさせてやる。そこへ太吉が通りかかる。事情を何も知らないにもかかわらず、孫娘が天ぷらを食べているのを見ただけでこう怒鳴る。
「くされ天ぷら食わしやがって! 腹こわしたら承知せんぞ!」


戦前の大阪の下町の様子が描かれていて、それだけでも見る価値は十分にあった。
ところどころに落語的なおかしさも散りばめられていて退屈しない。
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by beertoma | 2005-04-30 05:44 | 映画

「風船」

風船 (1956)

監督:川島雄三
原作:大佛次郎
脚本:川島雄三、今村昌平
撮影:高村倉太郎
音楽:黛敏郎
出演:森雅之、三橋達也、芦川いづみ、北原三枝、二本柳寛、新珠三千代、左幸子、高野由美

<ストーリー紹介>
森雅之: 戦後の貧しさの中を一生懸命働いて、大会社の重役にまで登りつめた男。
三橋達也: その息子。ボンボン育ちで、自分勝手。
芦川いづみ: 三橋の妹。純真無垢で心の優しい女性。
新珠三千代: 三橋の愛人、バーの女給。
北原三枝: ナイトクラブの歌手。三橋達也に急接近。

こういった人たちが織りなす人間模様。

<感想>
前半部分は、主要な登場人物の紹介と状況の説明に一杯一杯という感じで、物語の動く方向が見えず。群像劇かと思っていたら、終盤近くなってようやく全体像が把握できた。
ハリウッド映画のストーリーテリングに慣れ親しみ、それが標準だと思い込んでしまっているので、ごつごつした語り口に戸惑ったが、これはこれで別の味わいがあり面白かった。

セリフの多い映画。登場人物たちは、お喋りではないけれど、よく喋る。


すごく印象に残ったシーンを一つ。
森雅之が飲み屋のカウンターで、ある女性との出会いについて知人に説明している。映し出されているのは彼の後姿。
友人に向けていたセリフが、やがて、モノローグ調になっていく。それに合わせて映像も、後姿から雨の路地へとオーバーラップする。
これはてっきり回想シーンが始まると思っていたら、なんと、雨のシーンはその翌朝だった。驚いた。川島雄三の凄みを感じた。
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by beertoma | 2005-04-30 05:36 | 映画

阪神が中日に大逆転負け

「え?! 本当に頂いちゃっていいんスか? 本当スか? あざーっす!! おい、みんなも挨拶しろ! あざーっす!! あざーっす!!」
こういう中日ナインの声が聞こえてきそうな試合でした。中盤まで8-1でリードしていて井川が投げていて、大逆転負けするとは・・・。

8回表、8-5で二死三塁のとき、落合監督の表情がテレビに写し出されました。マウンド上にウィリアムス、バッターは井端です。落合監督の顔に浮かんでいたのは、例によって自信に満ちあふれた笑み、私が野球の神様ですとでもいいたげな笑みでした。「ここで点が入ったら今日はウチの勝ちだな」とでも考えているんやろな。やな奴。でも点入ったらホンマやばいな、と思っていたら、ヒットが出て8-6となって、そこからトントントン。ドミノ倒しの積み木くずし。

追加点を取れなかったのが痛かったですけど、今日の流れだと30-1でリードしていても逆転されていたような気がします。まあ、相手が中日だったのが、せめてもの救いだといえるのではないでしょうか。これが相手が読売巨人ズやダイエーソフトバンクスだったらと思うと・・・。

それに、もともと阪神はこういう試合するチームですしね。
試合後半でのベンチの采配や選手の姿勢を思い起こせば、「大事にいこう」と肩に力が入りすぎ、石橋を叩きすぎて壊してしまったような感もありますが、暗黒時代には石橋にすらたどり着けませんでした。それを思うと上出来の試合ではないでしょうか。

こういう辛い試合を自虐的にエンジョイするのが阪神ファンです。


中日  0 0 0  0 1 0  4 4 0  9
阪神  0 0 3  3 1 1  0 0 0  8
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by beertoma | 2005-04-29 05:59 | 阪神タイガース

「昼下りの決斗」

昼下りの決斗 (1962)
Ride the High Country
監督:サム・ペキンパー
脚本:N・B・ストーン・Jr、サム・ペキンパー
出演:ジョエル・マクリー、ランドルフ・スコット、マリエット・ハートレイ、ロナルド・スター、エドガー・ブキャナン

<ストーリー紹介>
もちろん伏線はいろいろあるんだけれど、最終的には、昼下がりに決斗する話。

<感想>
砂金を運ぶ仕事を請け負った元保安官にジョエル・マクリー。彼の旧友で、隙あらばマクリーを丸め込んで砂金をネコババしようと思っているのがランドルフ・スコット。
この二人に若い男女も加わって4人で砂金を運ぶお話。


最後の決闘シーンはさすがサム・ペキンパーと思わせる演出。
そこに至るまではロード・ムービー的な要素もあり、無難に楽しめる西部劇である。ジョエル・マクリーとランドルフ・スコットを懐かしむための映画だともいえる(かもしれない)。

ランドルフ・スコットももちろん素晴らしい俳優なのだが、ここは、敵か味方かわからない役をやらせたら世界一のジョージ・サンダースに演じて欲しかった。
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by beertoma | 2005-04-29 05:58 | 映画

「トリプルX」

トリプルX
/ ポニーキャニオン
ISBN : B00006JMP6

トリプルX (2002)
XXX
監督:ロブ・コーエン
脚本:リッチ・ウィルクス
出演:ヴィン・ディーゼル、サミュエル・L・ジャクソン、アーシア・アルジェント、マートン・ソーカス

<ストーリー紹介>
街のやんちゃ坊主ヴィン・ディーゼルが諜報機関の偉いさんサミュエル・L・ジャクソンにスカウトされエージェントになるお話。

<感想>
ヴィン・ディーゼルはちょうどイイ感じに自信たっぷりでこの役にマッチしていた。声も魅力的。
ただ、アクションシーンが少々くどすぎる。

素人がエージェントにスカウトされる(エージェント的な役回りを押し付けられる)映画としては、他にも「9デイズ」「アイ・スパイ」「ザ・ロック」などがある。
こういったタイプの作品では、「んな危険なことはしたかねえよ」と言っていた男が、なぜ引き受けるようになったのか、何が彼の気持ちを変化させたのか、をうまく描けば物語に厚みがでる。(「ザ・ロック」でショーン・コネリーがアルカトラズ行きを承諾した場面を思い起こしてみよ。)
この映画では、そこの部分が単純な理由(脅迫されたから)になっていたのが残念である。
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by beertoma | 2005-04-29 05:56 | 映画

「フリッカー、あるいは映画の魔」

フリッカー、あるいは映画の魔〈上〉
セオドア ローザック Theodore Roszak 田中 靖 / 文芸春秋

フリッカー、あるいは映画の魔〈下〉
セオドア ローザック Theodore Roszak 田中 靖 / 文芸春秋

「このミステリーがすごい! 98年度」で海外部門のベスト1に選ばれた作品。文庫本で上下巻あわせて約1000ページの大作です。

ミステリーといっても、私立探偵や刑事、あるいは諜報機関等にお勤めの方々は登場しません。拳銃やナイフも出てきませんし、血が流れることもありません。じゃあどんな話なのか? 主人公のジョナサン・ゲイツが不思議な魔力を持った映画に出会う、それを撮った監督(マックス・キャッスル)に興味を抱く、彼の作品にどんどんのめり込んでしまう、わやくちゃになってしまう、というお話です。
ミステリーというよりは(ある映画ファンの)半生記といえましょう。

マックス・キャッスルは、1920年から40年にかけてドイツおよびハリウッドで活躍した映画監督。もちろん著者の創り出した架空の人物です。その作品に登場する俳優たちも架空の人々なのですが、それ以外の部分では現実の映画史が引用されています。例えばオーソン・ウエルズが登場して彼がいかに偉大な映画監督であったかを語る場面もあります。映画史に詳しい人ほどマックス・キャッスルが実在の人物に思えてしまう仕掛けになっています。

この小説の魅力の一つは、映画の持つ魔力を実感させてくれるところではないでしょうか。
静止画像を1秒間に24コマ映しているだけなのに、スクリーン上にもう一つの現実があるように感じてしまう。考えてみれば不思議なことです。コマとコマの間には、いったい何があるのだろうか。そういった思いにとらわれたのは私だけでないはず。


映画好きな人がミステリー的ミステリーではなく、非ミステリー的ミステリーだと思って読めば、大いに楽しめる作品ではないでしょうか。
(実を申せば、私はミステリー的ミステリーだと思って読んでいたため、途中で少し退屈してしまいました。ストーリーをもう少し短くしても面白さは減らないと思うのですが・・・。あと、一人称単数の代名詞を「ぼく」と訳したのも不満です。)
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by beertoma | 2005-04-28 05:56 | 読書

「リプレイ」

リプレイ
/ アミューズソフトエンタテインメント
ISBN : B0002RN7W4

<ストーリー紹介>
記憶喪失者として病院のベッドで目覚めた男が「あなたは人殺しよ」と告げられパニクる物語。

<感想>
「アイデンティティー」の脚本家マイケル・クーニーの舞台劇を映画化した作品らしい。たしかにこれもパズル的要素の強い作品ではあるが、あれほどの「やられたー!」という快感はなく、「ふーん、そうやったんや。それはこりごりさんやったなあ」と激励の気持ちが湧く程度であった。
(観ている間は夢中にさせられたので満足していますが)

公開時のコピーの

脳感覚を刺激する、記憶のパズル・フィクション!
――2分間の死が男を記憶の迷宮に陥れていく――

というのはネタバレではないのだろうか。見終わった直後の「なーんやそれ」というツッコミを避けるためなのかもしれないが、面白さを減じていると思う。
それとも、これがネタバレだという指摘がネタバレなのだろうか。
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by beertoma | 2005-04-28 05:42 | 映画

「ララミーから来た男」

ララミーから来た男 (1955)
the Man from Laramie
監督:アンソニー・マン
原作:トーマス・T・フリン
脚本:フィリップ・ヨーダン、フランク・バート
撮影:チャールズ・ラング・Jr
出演:ジェームズ・スチュワート、アーサー・ケネディ、キャシー・オドネル、ドナルド・クリスプ

ソフトな西部劇。
通りすがりのよそ者(=ララミーから来た男)が町の実力者の横暴を正すというストーリーは西部劇の王道をいくもので、通常の場合だと、物語が進むにつれ対立が深まり、つまり観客の悪役に対する憎しみが増大し、最後の対決で BANG!BANG!BANG!、仇役がドサリと崩れ落ちて一件落着、となるはずである。
ところがこの作品では、途中の小競合いはあるもののラストでの鬼退治シーンがない。主人公が直接手を下さずとも鬼のほうで勝手に滅んでしまうのである。
クライマックスでの天下分け目の戦いが存在しないというのが、ソフトな印象を与える理由その一。

理由のその二は、主人公の乗る馬がギャロップで駆けていくシーンである。これが定期的に挿入されている。
町外れの牧場に出かけるといってはタッタカタッタカ、牛を追うために山の中に入るといってはタッタカタッタカ、ドラマの緊張を和らげるかのように駆けていく。しかも鞍上はあのミスターのんびり顔のジェームス・スチュワート。生きとし生けるものを癒してしまわずにはおかないあの表情が、馬に乗って映画の中を定期的に巡回しているのだ。
これでは観る側も「対決」「決闘」といった気分にはならない。見終わった後には頭の中に柔らかさだけが残る。

不思議な気分にさせられる作品である。


なお、監督のアンソニー・マンについては
アンソニー・マンは斜面を描く天才だったわけですね。斜面に人間をすえて、そしてそれを俯瞰する、あるいはそれをやや仰角でとらえる、これがアンソニー・マンの空間の根本的な形式であるように思います。
蓮實重彦「ハリウッド・フィフティーズは無念さの領域に位置づけられる」(『シネ・クラブ時代』淀川長治・蓮實重彦編、フィルム・アート社、P.53)
といわれているが、たしかに斜面の映像には特徴があった。
特に仰角の映像。長く見続けていると酔って気分が悪くなりそうな、不思議な映像であった。
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by beertoma | 2005-04-25 04:31 | 映画

「バッドボーイズ」

バッドボーイズ コレクターズ・エディション
/ ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

バッドボーイズ (1995)
BAD BOYS
監督:マイケル・ベイ
脚本:マイケル・バリー、ジム・マルホランド、ダグ・リチャードソン
出演:マーティン・ローレンス、ウィル・スミス、ティア・レオーニ、ジョー・パントリアーノ、マージ・ヘルゲンバーガー

<ストーリー紹介>
警察内に保管されていたヘロインが一夜にして盗み出された。大さじ一杯、カップ一杯などというハンパな量じゃない。末端価格にしておよそ100億円分の大量のヘロである。マスコミにバレたら大スキャンダル間違いなしの、上層部のクビがバンバン飛ぶこと間違いなしの大事件である。
麻薬課のジョー・パントリアーノ警部は部下のマーティン・ローレンス刑事とウィル・スミス刑事に事件の解決を命じる。

<感想>
この映画の魅力は、カーチェイスや銃撃戦といったアクションシーンよりも主役2人の会話である。漫才のような早口のやりとりでもっともっと笑えるはずなのに、字幕に訳しきれていないように感じた。悔しかったら英語を勉強しなはれ、ということなんでしょうが。

ただ、それでも伝わってくる面白さはある。とくにマーティン・ローレンスの演技。からかわれた時の、困惑しながらも必死になる表情がたまらなくおかしい。

納得いかない点が一つ。(ネタバレになってしまいますが)

ラストの爆破シーン。飛行機の格納庫が爆発炎上するのであるが、この全景ショットはあまりにも迫力がなさすぎたのではないか。
その直前までは格納庫内での大々的な銃撃戦である。弾丸が飛び交いドラム缶が次々と爆発する中、主人公たちが犯人を追いつめる。ここらあたりのショットはそれなりの迫力があり、見ていて気分が盛り上がっていった。ところがクライマックスの大爆発が記念写真のような全景ショットなのである。カメラの位置が離れすぎではないのか。
(「ザ・ベストテン」での)黒柳徹子の「はい、ポーズ!」という声が聞こえたのは私だけではあるまい。
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by beertoma | 2005-04-23 04:46 | 映画

「バファロー大隊」

バファロー大隊 (1960)
SERGEANT RUTLEDGE
監督:ジョン・フォード
脚本:ジェームズ・ワーナー・ベラ、ウィリス・ゴールドベック
撮影: バート・グレノン
音楽: ハワード・ジャクソン
出演: ジェフリー・ハンター、コンスタンス・タワーズ、ウディ・ストロード、ビリー・バーク、ウィリス・ボーシェイ

<ストーリー紹介>
合衆国第9騎兵隊ダブネイ少佐とその娘ルーシーがリントン砦内の自宅で殺害された。容疑者は黒人曹長のルトリッジ。犯行時刻に現場から立ち去るのが目撃されていた。
南西地区合衆国陸軍本部で軍法会議が開かれる。裁判は簡単に終わるかに思えたのだが・・・。

<感想>
法廷シーンをベースに随所に回想シーンが挿入される形式で語られていく。

軍法会議が舞台となる作品ではあるが、裁判の面白さを重視した、いわゆる「法廷もの」ではない。そこはジョン・フォード印の映画である。インディアンの襲撃というスパイスを使いながら砦で生活する人々の喜怒哀楽を歌い上げられている。

ヒロインを演じたコンスタンス・タワーズの麗しさといったら。クラシック音楽の演奏家のような高貴な風貌がたまりません。
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by beertoma | 2005-04-23 04:35 | 映画