<   2005年 08月 ( 42 )   > この月の画像一覧

『スポーツ批評宣言 あるいは運動の擁護』 蓮實 重彦

スポーツ批評宣言あるいは運動の擁護
蓮實 重彦 / 青土社

蓮實重彦のスポーツ批評集。全244ページのうちの約半分(118ページ)が文芸評論家、渡部直己との対話で占められている。話題はサッカー、2002年のワールドカップをめぐる報道についてなど。残りの半分は、プロ野球やMLBに関する文章。

内容は大きく3つに分かれる。
(1)スポーツ批評について (2)サッカーについて (3)野球について である。
このうち、(1)と(3)は読み応えのある内容であるが、(2)のサッカーについては(とくに渡部直己との対話は)、大半が、日曜の朝にTVでやっていた政治評論家の放談とあまり変わらないレベルである。現場で観戦していないためか、プロ野球批評で見せたような説得力はない。

<(1)がこの本の主題なので紹介すると>
(1)では、バブル化した日本のスポーツジャーナリズムを批判している。

新聞やテレビでスポーツが取り上げられることが多くなっているが、日本のスポーツジャーナリズムは「運動」を抑圧していると説く。

(少し長くなりますが引用しますと)

「もちろん優れた選手の海外移籍そのものはよいことだと思うし、もっと盛んになってほしいとさえ思っていますが、彼らをめぐる報道ぶりは、明らかにスポーツ・ジャーナリズムのバブル以外の何ものでもない。そこでは「スポーツはスポーツでしかない」というごく単純な事実が忘れられてゆく。イチローがやっているのも、中田英寿がやっているのも、単なるスポーツにすぎない。彼らはそれぞれの地で、「スポーツをスポーツする」ことの喜びをからだで表現しており、その身体的な表象能力が圧倒的に優れている。それは、まるで天から授かった恩寵としか思えない。だから感動を与えるのです。彼らの身体的な表象能力に、ジャーナリストたちの言語的な表象能力が追いついていない。それは「いまのお気持ちを」といった質問への答えでは到底コメントできない運動の体験なのです。だから、われわれは、バブル化したスポーツを「たかがスポーツ」として語ることで、これまたバブル化したスポーツ・ジャーナリズムの現状を批判しているのです。スポーツは擬似的な文化イベントでもなければ、人生の成功物語でもなく、生活に漠然とした不満を抱く中間層を癒す自堕落な日々の習慣でもない。スポーツとは選手たちの潜在的な資質をさらにおし拡げることで活性化する一瞬の運動にほかなりません。そしてテレビのVTRがくりかえす得点シーンやホームランのシーンからだけでは体験できない驚きの瞬間に立ち会うことの貴重さに目覚めさせてくれるのです。」
「あえていまこそ正論を」(P.190)


<感想>
「世紀末のプロ野球」が、球場に足繁く通って観戦した結果、内から自然と湧き起こってきた言葉を綴っていたのに対し、この本では、言うべきことを無理矢理にひねり出して発言している、という印象を受けた。別の表現をすれば、「世紀末~」は書いたのが誰であろうとそんなこととは関係なく面白い本であるが、こちらの本は、蓮實重彦の著作に慣れ親しんだ人が他の本とともに読んではじめて面白く感じる本ではないだろうか。


<疑問点など>
▲ TV観戦したサッカーの試合について、「両軍の動きはことごとく知性を欠き、想像力に乏しく、何とも醜かった。」(P.8)と書かれてある。
TVの画面はグラウンドの一部しか写していないはずのに、なぜ「美しさ」が全くなかったと判断できるのか? 球技における「知性」「想像力」「美しさ」といったものは、ボールのある場所にしか現われないのか。
▲ 「渡部  才能の愛でられた者が勝つんだというフットボールの真実を、最後の最後に、ブラジルが証明してくれました」(P.80)
こういう発言がよく出てくる。これらは「正論」なのかもしれないが、「そうやって、言い切ることの気持ちよさを味わいたいだけちゃうんかい?」という疑問もわく。
▲ 選手をけなしたりからかったりする発言が多々見られるが、その「表象能力」には芸がない。「これしかない」というけなし方をしていない。
▲ 新聞の一面に何々が取り上げられたからどうのこうの、という発言が何度も出てくる(映画評論でもたまに見かける)。
スポーツジャーナリズムについての本だから仕方ないのかもしれないが、それにしても、きょうび、新聞の一面がそんなに大事かぁ? とも思う。新聞愛が過剰なのでは?
[PR]
by beertoma | 2005-08-30 05:37 | 読書

阪神vs巨人18回戦

昨日に引き続いての見事な勝利でした。
あの上原を打ち崩した阪神打線の調子がよくなってきたのか、それとも、今の阪神打線を抑えられない上原の調子が悪いのかは、判断に苦しむところですが、兎にも角にも、勝利が一番です。中日との大勝負に備えて、いい準備ができたのではないでしょうか。


<今日の今岡くんと桧山くん>
6回裏の攻撃。先頭打者の金本がヒットで出塁した場面。無死一塁。
ここで登場した今岡部長は、外角低めの直球をライト前に転がして、無死一二塁とチャンスを拡げた。ここでのバッティングはまさに「部長」と呼ぶしかないほど見事なもの。会社帰りのサラリーマンが、駅のホームで傘を手に持ち、ゴルフの練習をしているようなスイングであった。

続くバッターは桧山。「わしにバントやらせるんかい。こんなん新人の仕事やろ」とムッとしながらも、クールに送りバントを決めた。職人芸を見ているような鮮やかさだった。(本当はムッとしていなかったのかもしれませんが、でも、大阪のオバチャンなら絶対に、「あんた、怒ってんの?」と訊ねるような表情でした。)


<今日の小久保>
小久保が6回表に打った2塁打。外角低めのスライダーを上手くバットに乗せてレフト線に持っていった。あれはまさしく今岡打ちではなかったか。そういえば、昨日は安藤に三球三振を喰らっていた。カウント2-0からど真ん中のストレートを見逃してのものだったが、あの三振の仕方も今岡打ち(不調バージョン)のように思われる。
小久保がどこまで今岡化するか、注目していきたい。


<今日のちょっとだけ笑った>
本日の中継はABC朝日放送だった。解説者は吉田義男、真弓明信、村田真一の3氏。
6回裏の無死一二塁、バッター桧山の場面で、吉田義男氏が唐突に喋りだす。
「真弓さん、ここはバント、ありますかねえ?」 アナウンサーの仕切りなどどこ吹く風のムッシュは、やはり面白い。

もうひとつは、”追いかけっこ大好き”藤本のプレー。
7回表の巨人の攻撃。無死一塁の場面で清水の打球はセカンドゴロ。誰もが「併殺だ!」と思ったその瞬間、事件は起こった。藤本が自分のほうに向かってきたランナー(江藤)を追いかけ始めたのである。直接タッチしたいのか? ファーストに送球しろよ! ファンの願いも虚しく、本能的に追いかけてしまう藤本。自分でもどうしようもないのであろう。そのプレーで時間を食ってしまい、併殺にならず。
「おまえなぁー」 阪神ファンの心が一つになった瞬間であった。


<今日の心配>
・阪神が強いのか弱いのかわからなくなってきた。阪神打線は、サミュエル・L・ジャクソンのごとく、ゲイリー・オールドマンのごとく、いつ爆発するか(キレるか)わからない。
その日その日を祈って過ごすことにしよう。



8/28(日)阪神vs巨人18回戦 (甲子園18:00)

巨 人  1 0 0  0 0 1  0 0 0  2
阪 神  2 0 0  1 0 2  1 0 X  6

 杉山(7勝5敗)
 上原(6勝11敗)
 [神] 金本 32号(1回2ラン) 鳥谷 6号(7回ソロ)
[PR]
by beertoma | 2005-08-29 05:21 | 阪神タイガース

阪神vs巨人17回戦

夏風邪を 移してすまぬと 大アーチ  

べつに、「藤川に風邪を移したのは金本だ」と非難しているわけではありません。ただ、オールスターの頃からタイガースの主力選手たちが次々と体調を崩していることを思い出し、そのひき始めが誰だったかとたどっていったら、金本プロがいただけです。
(シーツ ← 矢野 ← 今岡 ← 金本 ←X- チーム内にはいない)
「風が吹けば桶屋が儲かる」と同じような意味合いで、「アニキのクシャミは球児の点滴」なのかもしれません。


とりあえず一息つくことができる、快心の勝利でした。
双子のシーツの打つほうの人が逆転2ランを放つと、バースに変身した金本も負けじと2本のホームラン。安藤の好投に赤星の好返球と、「これぞプロ」という見せる野球をしてくれました。昨日までの試合運びがウソのようで、じつは選手全員が双子で、今日は全員入れ替わっていたのではないかとさえ思ってしまいました。

中日の嫌がらせはまだまだ続くようですが、明日の試合も、こういうやつ頼んます。


<今日のホンマ?>
ひとつ疑っているのは、「球児が風邪でダウン」が、実はウソかもしれないということです。
ここ数試合の打てないぶりを見た岡田監督はこう考えたのではないでしょうか。
「ぜんぜん打てへん。あかん! 重症や! どうしたらええねん。 打線を組み替えるくらいでは効果ないやろ。もっとキツイやつ、チーム全体が、こう、ガツンと来るようなやつ、ないかな。・・・・・・そうや! 球児のリタイアや!」
そう。チームにショックを与えるためのドッキリかもしれないのです。まさに岡田マジック。
元気でピンピンしている藤川は、昨日の夜、下柳のバイト先で一緒にテレビを見ながら笑っていたのではないでしょうか。
そうだったらいいな。

<今日の収穫>
・シーツにヒットが出た。

<今日の心配>
・「不調の桑田だったから打てただけ」ではないか。
・藤川様。



8/27(土)阪神vs巨人17回戦 (甲子園18:00)

巨 人  1 0 0  0 0 1  0 0 0  2
阪 神  3 0 1  0 0 0  1 0 X  5

 安藤(8勝5敗)
 桑田(0勝7敗)
 久保田(4勝4敗21S)
 [神] シーツ 18号(1回2ラン) 金本 30号(1回ソロ) 31号(7回ソロ)
[PR]
by beertoma | 2005-08-28 05:35 | 阪神タイガース

「アポロ13」

アポロ13
/ ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
ISBN : B00081U4L6

アポロ13 (1995)
APOLLO 13
監督:ロン・ハワード
原作:ジム・ラヴェル、ジェフリー・クルーガー
脚本:ウィリアム・ブロイルズ・Jr、アル・ライナート、ジョン・セイルズ、エリック・ロス
出演:トム・ハンクス、ケヴィン・ベーコン、ゲイリー・シニーズ、ビル・パクストン、エド・ハリス、キャスリーン・クインラン、ローレン・ディーン


<ストーリー紹介>
実話に基づいた作品。
1970年。月に向かう途中のアポロ13号に事故が起こる。船体の一部が爆発してしまったのである。予定されていた月への着陸は不可能、それどころか、無事に地球へと戻れるのかさえも危うい状況となってしまう。
厳しい環境のなかで努力する3人の宇宙飛行士、悲嘆にくれる家族たち、何とか無事に帰還させようと一丸となるNASA、の物語。

<感想>
2回目。
これが実話に基づいた話でなければ、最後まで心のどこかで白々しさを感じているのだろうが、本当にあった話というだけで楽しめてしまうのだから世の中わからない。

いつも不思議に思うのは、「本当にあった話」と「まるっきり作った話」を見るときの違いとはいったい何だろう? ということである。頭の中で絶えず「これは本当の話だ」と自分に言い聞かせているのか?

「これで『まるっきり作った話』だったら許せないけれど『本当にあった話』なんだからまあオーケー」という作品もあれば、その逆もある。

ま、私が、「ウソの世界にに浸るのが好きなだけ」なのでしょう。


ケヴィン・ベーコンとゲイリー・シニーズが出ているんだから、どちらかが、あるいは二人ともが、爆破の犯人かもしれない、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これはそういう作品じゃあござんせんので念の為。
[PR]
by beertoma | 2005-08-28 05:29 | 映画

阪神vs巨人16回戦

ブルペンに 幽閉悲し JFK

今シーズンはもう、彼らがマウンドに上る姿を見ることができないんじゃないか。そんな風に思えてしまう敗戦でした。
広島の横文字投手が好投したのに対抗して、我らが横文字投手のダーウィンが、それなりのピッチングで試合を作ってくれたのですが、今のタイガース打線は、入れ歯を外したピカデリー梅田のようなもの。このような固い試合は食べられません。おまけに江草シェフが焦がしてしまって、誰にも歯が立たなくなってしまいましたとさ。

(注)ピカデリー梅田 ・・・ ダウンタウンの番組「ガキの使いやあらへんで」に登場するマジシャン。入れ歯がセールスポイントの爺さんで、その手品の腕前は見事な(?)もの。仕込んでる感ゼロ。


4回表、阿部のセカンドゴロを捕球した関本が、(ノーステップではなく)体勢を整えなおしてからファーストに送球していれば、試合の流れは変わっていたような気もするのですが、結末は同じだったのでしょう。


とにかく打撃の不振が深刻です。たしかに工藤も素晴らしいピッチングをしましたが、あまりにもあっけなく抑えられすぎです。激しいペナント争いをしてきて、選手たちの疲れもシャレにならんレベルに達しているんでしょう。選手個々人に現状の打破を期待するのは酷だと思います。
ここは一発、カンフル剤代わりに、打線を組替えてみてはどうでしょうか。自分たちのスタイルを崩さずに戦うのも立派な戦い方ですが、軽いフットワークで臨機応変に戦うことも重要です。

<新オーダー>
1 (中) 赤星
2 (左) 金本
3 (三) 今岡
4 (一) 男片岡
5 (捕) 矢野
6 (遊) 鳥谷
7 (右) 浜中 (/桧山/スペンサー)
8 (二) 藤本 (/関本)
9 (投) 投手

<コンセプト>
・プレイボール直後から王手をかけまくる。相手の嫌がるバッターをどんどん打席に送り込んでやれ。
・打順は、単に打つ順番である。何番打者はこういうタイプ、何番打者は大物だけど何番打者は小者、という固定観念は捨てる。(昨日のヤンキースのオーダーで松井秀喜が2番だったことを想起せよ)
・赤星-金本-今岡の並びは必ず点が取れる!(ような気がする)
・男片岡はペナントレース前半は怪我で参加していない。いわば、後半20分に投入された大黒のようなもの。元気があり余っているので必ずやってくれる。(ような気がする)


<今日の収穫>
・JFKの夏休みは続く。

<今日の心配>
・ダーウィンのナックルボールがチェンジアップにしか見えなかったこと。
・元気のなかった中日が、広島戦の連敗を知って息を吹き返してきたこと。やな奴ら。



8/26(金)阪神vs巨人16回戦 (甲子園18:00)

巨 人  0 1 0  1 2 0  0 0 0  4
阪 神  0 0 0  0 0 0  0 0 0  0

 工藤(10勝7敗)
 ダーウィン(0勝1敗)
 [巨] 仁志 10号(2回ソロ)
[PR]
by beertoma | 2005-08-27 05:14 | 阪神タイガース

広島vs阪神16回戦

下柳がまさかの乱調でまさかの連敗となってしまいました。残念です。
とりあえず、下柳には、登板日以外に働くのをやめてもらうしかありません。(← 島田紳助の情報による)

彼は前回の登板でも打ち込まれました。あのときは、下柳の無意識が、連日登板していたJFKを休ませるためにわざと乱調を演出した、と書きましたが、今回も「下さんの無意識」は、何かメッセージを送っていると思います。
考えられるのは以下の3つです。

(1) 「エースは井川じゃボケ!」
今年は井川の調子がいま一つで、「彼はもはや阪神のエースではない」といった声もちらほら聞こえます。「下さんの無意識」はそれに怒りました。
「エースはあいつやろ! そんなこと言うんやったら、井川より多くの勝ち星は稼げんようにしたる!」

(2) 「台風が恐いんです」
地震に弱い金本の例から、タイガースの選手は自然災害に敏感すぎるのではないか、と疑ってみました。
台風11号が、いくら関東・東海地方に向かったといっても、進路を変える可能性がゼロではなかったわけで、「下さんの無意識」はそこに怯えたのかもしれません。
「今日はもうええって。な? はよ帰ろ」

(3) 「安藤、ええなあ」
先週のことでした。横浜戦でノックアウトされた安藤が、中2日でヤクルト戦に登板、快刀乱麻のピッチングを披露しました。それを見ていた「下さんの無意識」の、うらやましがることといったらどうでしょう。
「安藤、ええなあ。中2日で好投やて、カッコええやん。ワシかてこの前ノックアウトされたけど、なんで中5日なんやろ? ごっつテンション下がるわ。 こうなったら、もっかいノックアウトや」


原因がどれかは今のところわかりませんが、一日も早く「下さんの無意識」の機嫌が直って、好投してくれるよう祈ってます。


<今日の収穫>
・今岡の満塁ホームラン。見応え充分だった。
・片岡がスタメンで、3番ファーストだったこと。

<今日の不安>
・打線の調子が悪いのは昨日だけだと思っていたのに、そうでもなさそうなこと。7回表のノーアウト一二塁のチャンスなど、これまでだったらたたみかけていた筈なのに。
・特にシーツ。あの、誰が見ても不振であることが一発でわかるような、ボールが当たりに来てくれるのを待っているようなスイングは、重症なのではないか。

<カープに八つ当たり>
ロマノたらベイルたらデイビーたら、みんなおんなしヤツちゃうんかい? 横文字並べたら勝てる思っとったら承知せんぞ!



8/25(木)広島vs阪神16回戦 (広島18:20)

阪 神  0 0 0  0 0 4  1 0 0  5
広 島  2 0 1  3 0 1  0 0 X  7

 ロマノ(5勝4敗1S)
 下柳(10勝3敗)
 ベイル(2勝0敗17S)
 [神] 今岡 21号(6回満塁)
   [広] 嶋 20号(1回2ラン) 緒方 17号(3回ソロ) 前田 21号(4回ソロ)22号(6回ソロ) 倉 2号(4回2ラン)
[PR]
by beertoma | 2005-08-26 05:29 | 阪神タイガース

『世紀末のプロ野球』 草野 進

世紀末のプロ野球
草野 進 / 角川書店
ISBN : 4041658012

初版の発行日は 1986年7月25日。著者については、「草野進=蓮實重彦」説や「草野進=蓮實重彦+渡部直己」説などがある。内容はプロ野球についての批評集。
80年代のプロ野球について書かれているので、当然、登場する固有名詞は懐かしいものばかり。

私はマゾではないつもりですが、この本を読んでいるとこれまでのプロ野球の見方が否定されて、なぜか気持ちよさを感じてしまいます。
タイガースが優勝争いに参加している今、盲目的に応援してぐったり疲れている今、少しでも頭を冷やすのにピッタリの本です。
阪神の試合についてはとてもこのような見かたはできませんが、それ以外の、結果の気にならない試合の場合には、応用してみたいという気にさせられました。


阪神・日ハム戦を観にいったときのことを思い出します。内野ゴロでベースカバーに走る外野手の動きや、3アウトになった瞬間に守っていた野手たちがいっせいにベンチへと向かう動き、に魅せられてしまいました。あそこにも美しさがあると思います。
(競馬場の正面スタンドで感じる、本馬場入場してきた馬がスタート地点へと走っていくときの美しさも、似ているような気がします。)


素晴らしい本やよってに、ほんでから品切れやよってに、ぎょうさん引用させてもらいました。おおきに、すんまへん。


<著者のプロ野球についての考え方>

・贔屓(ひいき)のチームを持つな
「だがそれにしても贔屓を持つってことは、自分の醜さと限界とを素直に告白するようなものではないか。スポーツの魅力は、まさにそんな醜さと限界を華麗に忘れさせてくれることにある。」(P.136)

・「贔屓チームが勝てば満足」という見方はダメ
「何とも悲しいのは、多くの人が、麻薬のような物質としてプロ野球をみなしていることである。勝たねばならぬもの、高率を残さねばならぬもの、面白くなければならぬものとしてのプロ野球。だが、プロ野球とは、ものではなく、あくまで運動ではないか。われわれが愛するのは、物質としてのプロ野球ではなく、動きとしてあるベースボールなのだ。高校野球よりも、大学野球よりも、実業団野球よりもプロ野球が好きなのは、そこでの動きが圧倒的に高度な美しさを描き出してくれるものだからなのである。」(P.156-157)

・テレビではなく球場で観戦せよ
「プロ野球が好きならば球場にかけつけ立見を覚悟で試合を観戦せよ。」(P.158)

「テレビ中継の単調さは、勝負の推移をひたすら視覚的にしか伝達しようとしない点に有する。球場ではあらゆる感覚が総動員される。」(P.137)

「たとえば、二死ランナー一、二塁での右中間のライナー性の一打。そんな光景を球場で目にした者なら知っていようが、そのとき両チームの選手たちは、野手はいうに及ばず、ベンチの監督やひかえの選手までが総立ちになる。ボールを追う外野手、中継に走る内野手、塁上をかけぬける走者、右手をまわす三塁コーチ。バックアップに走る投手。審判たちも目まぐるしく動きまわる。ランナーをホームで殺すか打者走者を二塁で殺すかの瞬間的な判断。
ほんの十数秒ほどのうちに起るこの複雑な動きを、一目で把握しうる瞳(め)というものは存在しない。 (略)
われわれがプロ野球に求めているのは、こうした瞬間的で複雑な運動である。 (略)
ところがテレビという奴は、この把握不能の事件の現場から見るべき細部だけを切り取って、これに注目せよと強要しにかかる。」(P.160-161)

・プロ野球は単調なスポーツである
「そもそもが野球とは単調なスポーツなのだ。そのことを容認しない限り、ピッチャーはとても完投などできないだろう。ホームベースをめがけて百数十回ボールを投げる。プロ野球の観客たりうる資格の第一のものは、正常な神経の持主にはとても我慢なるまいこの途方もない単調さに苛立たぬことである。
もちろん、その単調さは破られはする。だが、ほんの一瞬、それもあっけないやり方で破られ、あとにはまた同じ単調さが支配する。その意味で、ハイライトシーンだけからなるテレビのプロ野球ニュースほど反ベースボール的なものもまたとあるまい。あれは、そもそも選手たちが自分の姿を見るための番組なのだ。そして今日もまた一日単調さに耐えぬいた彼らだけが、それを見る資格を持っているのである。」(P.59-60)

・プロ野球好きはほんの一瞬のために球場へ出かけていく
「しかし球場で演じられるゲームは、そんな錯覚をさわやかに正当化してくれる。そこではひたすらボールが飛び、人が走るだけである。あるいは飛ばすまい、走らせまいとする意志が球場にみなぎる。走ろうとする意思と走らせまいとする意思がとがしばらく抵抗しあう。何ともこたえられないのは、その均衡が不意に破られる瞬間だ。そしてそれが新たな均衡に達するまでのほんの一瞬の無秩序のために、われわれは球場にでかけてゆくのだ。
勝ち負けならテレビを見ていてもいいし、翌朝のスポーツ新聞を読んでもよい。だが、一つの均衡から次の均衡への唐突な移行の予期しえぬエロチシズムは球場の雰囲気に全身をさらさないと絶対に体験できない。 (略) プロ野球が好きだというのは、そうした空間への官能的な愛着にほかならない。」(P.136)
[PR]
by beertoma | 2005-08-26 05:29 | 読書

広島vs阪神15回戦

無口にさせられる試合でした。
といっても、やり場のない感情が身体の中を駆け巡りその結果として無口になってしまう、というのではなく、言いたいことが見つからないのです。

まあ、無駄なく負けた試合とでもいうのでしょうか。

2安打ではどうしようもありません。もし福原が頑張っていたら、かなりの確率で投手戦となっていたことでしょう。今日の流れから行くと最後にはやられていたでしょうから、早めに雲行きが怪しくなったほうが、選手にとってもファンにとっても、気分を切り替えやすくてよかったのではないでしょうか。

昨日、ヤクルト打線の調子を心配しましたが、灯台下暗しでした。こんなところに貧打が潜んでいるとは思いませんでした。
タイガースというチームは、無意識のうちに苦手なピッチャーを求めているのかもしれません。


<今日の収穫>
ノーヒットノーランをまぬがれた!


8/24(水)広島vs阪神15回戦 (広島18:20)

阪 神  0 0 0  0 1 0  0 0 0  1
広 島  0 2 0  0 0 4  2 0 X  8

 大島(1勝0敗)
 福原(7勝13敗)
 [神] 今岡 20号(5回ソロ)
   [広] 前田 20号(2回2ラン) 栗原 9号(6回3ラン)
[PR]
by beertoma | 2005-08-25 05:17 | 阪神タイガース

広島vs阪神14回戦

井川慶・プレゼンツ・JFK感謝デー。
井川がやってくれました。9イニングを5安打1失点、97球での完投勝利です。
先週は、8イニングを5安打1失点 119球でした。相手投手が三浦大輔だったので打線の援護にめぐまれず勝ち星こそつきませんでしたが、あのときも素晴らしいピッチングでした。8・9事件以降、往年の井川慶が甦りつつあると考えてもいいのかもしれません。(MBSラジオの解説の達川氏は「今日の井川は調子がよくない」と言ってましたが)

ヒーローインタビューも彼らしいそっけないものでした。別に彼に悪気があるわけではなく、インタビュアーの質問の仕方がマズかったのだと思います。
こういう無口なタイプの選手がヒーローのとき、インタビュアーは「阪神ファンを煽らせたら日本一」の矢野輝弘氏にお願いしてはいかがでしょうか。プレイング・インタビュアーとして、きっとええ仕事してくれる筈です。


<今日の収穫>
・シーツ、藤本以外はヒットを打ったこと。
・リリーフ陣が休養できたこと。

<今日の不安>
・明日の先発が誰なのか。デイビーだけは勘弁。
・ヤクルト打線の不調。みなさんのお力が必要なんです。



8/23(火)広島vs阪神14回戦 (広島18:20)

阪 神  0 1 1  0 3 0  0 2 0  7
広 島  1 0 0  0 0 0  0 0 0  1

 井川(11勝5敗)
 大竹(7勝9敗)
 [広] 嶋 19号(1回ソロ)
[PR]
by beertoma | 2005-08-24 05:06 | 阪神タイガース

『古田式』 古田敦也 周防正行

古田式
古田 敦也 周防 正行 / 太田出版

<内容紹介>
スワローズファンの映画監督・周防正行とプロ野球選手・古田敦也との対談集。四部構成。対談が行なわれたのは、2001年の1月と2月。
第一部と第二部は、草野球のエースでもある周防が、憧れの野球選手・古田にさまざまな質問を投げかける。巨人戦のあの場面ではピッチャーにどういう球を要求していたのか、アマチュア時代はどんな選手だったのか、今のプロ野球が抱えている問題は何か、などなど。
第1回目の対談のあと、周防はヤクルトがキャンプをしている沖縄まで出かけていく。古田にキャッチボールの相手をしてもらうためである。キャッチボールといっても、マウンド上から坐らせた捕手を目がけて投げるという本格的なもの。このアマチュアのピッチャーなら誰もが憧れるような体験の、周防によるレポートが第三部。
最後は再び二人による対談。内容はキャッチボールの感想、捕手論、監督論、など。


<この本のいいところ>
古田の野球に対する考え方(の一部)を知ることができる。
対談集なので手軽に読むことができる。読むのに必要なエネルギーは、テレビのトーク番組を見るときくらい。

<この本に対する不満>
マニアの喜ぶディープな対談というよりは、古田敦也入門といった内容となっている。あらかじめ枠が決まっているから仕方ないにしても、基本的な質問はここで済ませたのだから、このあと対談を重ねれば突っ込んだやり取りができて面白さも倍増するはず。全10巻くらいのシリーズにしてほしい。


<引用>
周防 - 映画監督って誰でもできるって知ってます? イエス、ノーをいえればいいだけ。よく監督は自分のイメージがあって作るとかいうけど、それは、そんな振りをしてればいいんです(笑)。
(P.182)


周防 - 昨日、古田さんが「野球は監督がやるものだから」っていったじゃないですか。僕はその言葉に驚いた。映画のスタッフや役者がいう言葉と同じだから。「映画は監督のものだから」というのは、現場の役者からスタッフから全員がいうことでしょ。だから、古田さんの野球に対する感覚とかセンスは、映画に近いのかなと思いました。
(略)
で、古田さんが「野球は監督のものだ」というのは、たぶん、どんな采配にも、正解はないということを知っているからだと思う。
(略)
古田 - だから、結果から見て、あたかもそこに正解があったかのように語る解説者は勝手にいってろと思いますけど。ただ、結果に関して、キャッチャーは言い訳したらアカンですね。
(P.183-185)
[PR]
by beertoma | 2005-08-23 03:47 | 読書