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「航路」コニー・ウィリス

航路 (上)
コニー・ウィリス 大森 望 / ソニー・マガジンズ

航路 (下)
コニー・ウィリス 大森 望 / ソニー・マガジンズ

<ストーリー紹介>
ジョアンナはデンバーの大病院で働いている。といっても、ドクターやナースではなく、ヤクザイシーやレントゲンギシーでもない。臨死体験を研究している認知心理学者である。
「もうちょっとでデスするところだったざますのよゴホゴホ」という婆さんや「もうちょっとでデスするところじゃったわいゲホゲホ」という爺さんが現れると、はせ参じてインタビューをする毎日である。
ところが、とかくこの世はままならぬもの。彼女の研究を邪魔する男がいる。マンドレイクというノンフィクション作家である。彼もまた臨死体験者へのインタビューを仕事にしているのだが、この男の場合、インタビューとは名ばかりで、その実体はほとんど洗脳なのである。「あの世は存在する」と頑なに信じているから、誘導尋問につぐ誘導尋問で患者の記憶を滅茶苦茶にしてしまう。

そんなある日、この病院に神経内科医のリチャードが転任してくる。
投与すれば誰でも臨死体験ができる薬、ジテタミンをひっさげての颯爽とした登場である。

そんなジョアンナとリチャードとその仲間たちと敵たちの物語。


<感想>
次々とページをめくり、あっという間に読み終わってしまいました。そういう意味ではとてもよく出来た小説です。

ただ、帯の

宮部みゆきさん絶賛!「この<船>は、すべての謎が解き明かされる感動のラストへと、必ず貴方をお連れします」

というコピーや、訳者あとがきの

掛け値なしに、これこそ”十年に一度の傑作”と呼ぶにふさわしい小説だと思う。

という表現は、いくらなんでも大げさすぎるのでは。
面白くは読めましたが、あまり感動はできませんでした。

「すんごい小説ですよー。お買い得ですよー」とラッパを吹かなければ集客できないのはわかりますが、そこのところは表現を工夫して頂かないと、期待感が裏切られた感になってしまいます。

この小説の難点は、登場人物のキャラクターが平坦すぎるところです。(病院での右往左往がほとんどなので、”仕事をしているときの人格”しか見えてこない)
ただ、これは、著者名や出版社名である程度判断すべきだったのかもしれません。(あるいは、読むスピードが速すぎたのかも)


マンドレイクにもジテタミンを投与してほしかった。
by beertoma | 2005-02-23 05:29 | 読書


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