芸人の隠語をよく使っていた人といえば、私にとっては、明石家さんまです。ラジオ番組でよく口にしていました。
なかでも記憶に残っているのは、金額についての隠語です。 「げーせん」「でーまん」「ちぇーじゅう」 聴取者を煙に巻くためでしょう、わざとこういう言葉遣いをしていました。何のことやらさっぱり判らない私は、イライラするしかありませんでした。 というわけで、またまた『笑解 現代楽屋ことば』の助けを借りて、謎の解明に挑んでみます。 お、さっそくありました。11ページです。「楽屋の数の符牒」として以下のように書かれています。 一 … へい(平から出た) 二 … びき(二引の紋から) 三 … やま(山《さん》から) 四 … ささき(佐々木高綱の定紋四ツ目から) 五 … かたこ(片手の指) 六 … さなだ(真田幸村の定紋六連銭から) 七 … たぬま(田沼家の紋、入七曜星から) 八 … やわた(八幡太郎から) 九 … きわ(十のきわだから) おや。ヘンですね。これでは、「げーせん」や「でーまん」が何のことかわかりません。どうしましょう。 おっと、うっかりしていました。その下にこういう紹介もありました。 (見落としていてごめんなさい) 一 … チェー(C) 二 … デー(D) 三 … イー(E) 四 … エフ(F) 五 … ゲー(G) 六 … アー(A) 七 … ハー(H) 八 … オクターブ 九 … ナイン これで謎が解けました。 「げーせん」は五千円、「でーまん」は二万円、「ちぇーじゅう」は十万円だったんです。 そしてこういう説明がありました。 「上の方の符牒は古くからの幕内楽屋ことばである。理髪師も同じ符牒を使っている。下の方は近年バンドマン連中が使い出した符牒で音階から作ったもの。音階は七までしかなく八は一オクターブ上がるのでオクターブ、ナインは英語。中には、やりかふり、かち、めった(ため)、しずか、みづ、おき、あすた、きわの符牒を使う人もいる。これも理髪師符牒である。芸人も賭博をするときは一般と同じく博徒の符牒を使う。びん、にぞう、さんずん、よつや、ごけ、ろっぽう、しちや(なき)、ちょうべい、かぶ、ぶたという風である。」 「芸人も賭博をするときは」という表現に、ちょっと引っかかるものを感じますが、ま、いいでしょう。芸人も殺人をするときは一般と同じく台所の包丁を使う。みたいなもんでしょう。
by beertoma
| 2006-02-18 06:41
| お笑い
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