「たけしのここだけの話」 1988/12/25(日) 22:30 -- 23:00 関西テレビ 「日本映画論」 出演者: ビートたけし 山口美江 ゲスト: 緒形拳 <感想> 「たけしのここだけの話」は1988~90年に放映されていたトーク番組。 古いビデオを整理していたら録画されていたので再見。 大友柳太郎のエピソードが最高におかしい。採録しても面白さが伝わらないかもしれないが採録。 予備知識を念のために書き添えておきます。 ・緒形拳は辰巳柳太郎に憧れて新国劇に入った。大友柳太郎はそこでの先輩。つまり、緒形拳にとって、辰巳柳太郎は師匠、大友柳太郎は兄弟子のような存在(たぶん)。 ・丹下左膳は林不忘の小説に出てくる、片目、片腕の侍。昭和初期のヒーロー。 ・緒形拳は以下のトークを自分の間、自分のスピードでゆったりと喋っていた。 <採録> たけし 「大友さんていろいろ笑い話がありますよね。人づてに聞いただけでも15個くらいある」 山口 「そうなんですか」 たけし 「丹下左膳やっててね、手ェしばってこっちの眼を閉じて全力疾走してたら、曲がれなくて壁に激突したとか」 山口 「(笑)」 たけし 「あと、そうやって撮影して、監督が 『カット! いまの演技すごく良かったです!』って言って、みんなでラッシュ見たら、両手出して両目開いて必死の形相で走ってたとか」 山口 「(笑)」 たけし 「どうしようもないのがありますね」 緒形 「大友さんはウソみたいに真面目な人ですからね。ものすごく几帳面ですから。『おい! 風呂の湯加減見てこい!』。 ……。 いつまでたっても帰ってこないんですね。で、辰巳先生がイライラして見に行ったら、風呂入ってたっていうんですね」 たけし・山口 「(笑)」 緒形 「大友さんで一番愛すべき話で、有名な話はですね。『新国劇っていえば国定忠治』っていうくらい、国定忠治は有名な、もう新国劇以外ではどこもやらないようなお芝居なんですけどね。こう山の場で、川田屋惣次という親方が来ましてね。子分たちが山へこもっているわけですね。ドドーン、ドーン、ドーン。山嵐っていう太鼓がなって、子分がザーッと出てきて、そこへ真っ白い衣装を着た国定忠治が、こう、山の上から出てくるんですね。陣床机(じんしょうぎ)っていう、こういう、サムライが坐る、折りたたみの椅子があるんですけど、辰巳先生がちょうどいい格好に坐れるように作ってあるんです。それに腰をおろしながら、(低い声で)『これはめずらしい、川田屋のとっつぁん』って言うわけですね。これはとってもいい場面なんですね。で、ある日、『おい中富(註:大友柳太郎の本名)、お前、小道具忘れんなよ!』 『は、はい』。 この役は僕もやりましたけど、弟子が小脇に抱えて持っていくんですね。師匠が衣装をつけるのを手伝って、そのあと陣床机持って付いていくんですね。で、ハッと見たら陣床机がなかったんですね。『あー大変だ』と思って、『あー大変だ。……。あっ、そうだ!』。 風呂場へ行って、風呂の椅子を、椅子っていうんですか?」 たけし 「下駄みたいなやつ?」 緒形 「そうそう」 たけし 「鮨を置くみたいなやつ」 緒形 「あれを持って後から付いていったんですね」 たけし・山口 「(笑)」 緒形 「それだけで客はもう、笑うわけですね。で、辰巳先生が坐ろうと思ったら、なかなか坐れなくて(と、立ち上がり、ズーッとしゃがんでいく)、最後はこう、ウンコするみたいになって」 たけし・山口 「(笑)」 緒形 「(低い声で)『これはめずらしい川田屋のとっつぁん、ってバカァー!(と、隣にいる弟子の頭を思いっきり叩くしぐさ)』 山口 「(笑い転げる)」 たけし 「ハハハハ。それじゃあコントだ。ひょうきん族のコントだ」 これはめずらしい、川田屋のとっつぁん ってバカァー!
by beertoma
| 2006-02-26 06:42
| お笑い
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